小中学校の軟式野球で、2029年から“飛ぶバット”の使用が全面禁止となることによって子どもたちが野球の楽しさを感じにくくなるといった否定的な意見がある一方、徳島県の室内練習施設・野球塾「J-PARK」で技術指導するほか、フォロワー約12万人のSNSで打撃のヒントなどを配信している福原芳之さんは「ジュニア世代のスキル向上が期待できるのではないか」とポジティブに捉えている。

反発係数が高いウレタン素材を使用した「ポンって当てるだけで飛んでいく」高反発バットは2000年代初頭に登場し、その後も高性能バットが次々に発売されてきた。その結果、子どもでも簡単に遠くへボールを飛ばせるようになった。 しかし、高反発バットを使用した子どもたちが中学や高校で硬式野球へ移行すると、たちまち飛ばせなくなり、「つまずくことが多い」と福原さんは話す。バットの性能に頼り、芯でボールを捉える技術や、体の使い方を正しく学べていないことが理由にあげられる。そんな子どもたちに、福原さんが最初に伝えるのは「軸足の膝」の使い方だ。 「軸足の膝をしっかり曲げる。これを教えるとみんな打てるようになります。ただ曲げるだけでなく、重心が下にあることと、下半身のパワーが地面に刺さるように出力されていく意識を持つことが大切です。そうすると強くバットを振れるし、あまり前で打たなくなってきます。変化球にも対応できるようになります。

ボールを斜め上方向へ打ち返すために、どうして下方向へ力を込めるのか。軸足でしっかり地面を踏むことで、同じ強さで押し返される「地面反力」というエネルギーが発生し、爆発的な力を発揮できるからだ。 「バットの芯に当てることができたら、地面反力がボールにちゃんと伝わるんです。地面反力は打球速度に影響を与えますし、ボールを遠くに飛ばせます。できるようにするにはトータルの成長が必要ですが、踏み込む力をつけ、返ってきた力に耐えられる軸足の筋力も大事な要素のひとつだと思います」  3年後に高反発バットが禁止される中、これまで同様に打球を遠くへ飛ばすには、小学生のうちから打撃スキルを磨くことが必要となる。指導者も「子どもからの質問に曖昧な知識で答えるのではなく、新しい理論を見てみること」が求められるだろう。そのような状況が硬式野球へ移行する際につまずいてしまう子を減らし、球界全体のレベルアップにも繋がっていく。

参照:Full-Count