今春の選抜高校野球大会をみて、改めて実感するが、高校野球は二つの「優位」が進んでいる。
一つは、私立校の優位だ。この選抜大会で、出場した公立校は4校にとどまり、いずれも1回戦で姿を消した。
選抜大会での公立の出場は20年前の14校、10年前の8校から減少傾向にある。夏の全国選手権でも出場49校のうち、公立校は2000年は19校あったが、昨年は6校だった。
もう一つは、硬式経験者の優位だ。今回の選抜大会の登録選手計638人について、中学での野球経験を調べてみた。すると、ボーイズリーグやリトルシニア、ヤングリーグなどの硬式チームへの所属経験がある選手は505人で、中学の所属チームがわかっている620人のうち81.5%を占めた。高校入学前から硬式球に慣れて競技力を上げ、強化を図る私立高を目指す。それが甲子園出場への大きな道筋になる一方、中学の軟式野球部を経て甲子園に出てくる選手は少数派になった。
早い段階から硬式野球を経験することは否定しない。高い水準のスポーツ活動を通じ、目標をもって成長につなげていく。運動部活動の大きな意義の一つだ。ただ、現実的に甲子園を目指して勝ち進める高校が、私立を軸に限定的になっている。すべての高校の選手たちが、多くの試合を通じて自己を高められる環境になっているかどうか、大会の根本的な見直しも必要ではないか。
例えば、強豪校とも対戦できる可能性がある現行のトーナメント形式の全国規模の大会とは別に、実力が近い高校同士が試合を多く経験できるリーグ戦を、地域ごとに実施する。そんな場があれば、試合数や出場機会が増え、勝利の喜びも体験しやすい。 日本高校野球連盟は取材に「難しい面はあるが、いろいろな可能性を探ることは必要」と話した。
二極化の現実をみると、具体的な議論を始めてもいいのではないか、と考えている。(中小路徹)
【参照:朝日新聞社】


